千秋の徒然日記

心にうつりゆくよしなし事を、徒然なるままに。

変化に適応しろ!【チーズはどこへ消えた?】あらすじ・感想

状況の急激な変化にいかに対応すべきか

 世界は目まぐるしくその様相を変えています。

 変化は幾度となく、そして唐突に訪れます。

 急激な環境の変化にあなたは上手く対応できるでしょうか?

 今現在新型コロナウイルスの影響でさまざまな常識が書き変わっています。外出する時はマスクをするのが当たり前になり、お店などに入る時は体温計測とアルコール消毒が基本となりました。人の集まりは極力避け、リモートワークやオンライン授業など、コロナによって生活様式をガラリと変わっています。

 激動のこの時代に参考になるのが「チーズはどこへ消えた?」です。

 2000年に出版され、2400万部を超えるベストセラーで、今もなお多くの支持を得ています。

 全部で90ページほどで、隙間時間などでサクッと読め切れてしまいます。

 この本では変化に適応することの重要さを学ぶことができます。

あらすじ

 2匹のネズミと2人の小人。彼らは迷路を探索してチーズを探すのが日課です。

 ある日彼らは迷路の一角で大量のチーズを発見します。それからは迷路の探索をやめて毎日そこへ通うようになりました。

 しかしまたある日チーズは突然消えてしまいます。

 ネズミ達はそれを予期していたので慌てずに次のチーズを探しに行きました。小人達はまたチーズは戻ってくると信じ、その場に残りました。

 しかし、待てど暮らせどチーズは戻ってきません。小人の片方は現状を嘆いていても仕方がないと新しいチーズを探しに行く決心をします……。

変化を恐れずに挑戦しろ!

「チーズ」とは、私たちが人生で求めるもの、つまり、仕事、家族、財産、健康、精神的な安定……等々の象徴。

「迷路」とは、チーズを追いもとめる場所、つまり、会社、地域社会、家庭……等々の象徴。

 変化が起こったときに何をするべきなのか。変化に対する恐怖とどう付き合っていくべきなのか。変化は何をもたらすのか。

 本書では、日常生活における問題解決のヒントが寓話を用いて比喩的に表現されています。

 登場人物は四人。

 変化に敏感なスニッフと行動力のあるスカリー。変化が受け入れられないヘムと変化を利用しようと考えるホー。

 ある事が当然だと思っていたチーズが突然消えてしまい、一度は途方に暮れたホーでしたが、彼はじっとしてても仕方がないと新たなチーズを探しに迷路へと駆り出します。その道中で気づいたことがあり、未だ現実逃避しているままのヘムに向けて、いつか彼が追いかけてきた時の指針として、メッセージを書き残します。

 それらを要約すると、「状況をよく観察し、素早く変化に適応すれば上手くいく」となります。

変わらなければ破滅することになる

 環境は変わっていく。自分は変わらない。それでは淘汰されて居場所を失ってしまいます。そうならないように、移りゆく状況に適応する必要があるのです。

 ホーは新しいチーズを見つけ、学んだことをもう一度纏めました。

・変化は起きる:チーズはつねにもっていかれ、消える
・変化を予期せよ:チーズが消えることに備えよ
・変化を探知せよ:つねにチーズの匂いをかいでいれば、古くなったのに気がつく
・変化に素早く適応せよ:古いチーズを早く諦めればそれだけ早く新しいチーズを楽しむことができる
・変わろう:チーズと一緒に前進しよう
・変化を楽しもう:冒険を十分に味わい、新しいチーズの味を楽しもう
・進んで素早く変わり再びそれを楽しもう:チーズはつねにもっていかれる

 ホーはこの教訓を活かし、新しく見つけたチーズに固執せず、さらなるチーズを求めて迷路の探索を続けました。

リスクはある

 本書ではチャレンジ精神を持つことを強く推していました。しかしその描写方法に関して懐疑的な部分があります。というのも、この本ではリスクについての説明が不十分だからです。

 本書ではリスクに対する恐怖に対してこう述べています。

確かに、恐怖をおろそかにしてはいけない場合もある。本当に危険なことから遠ざけてくれることもあるからだ。だが、ホーがいだいていた恐怖は大部分が理屈に合わないもので、そのために変わるべきときに変わることができなかったのだ。

 本当にそうでしょうか?

 迷路は暗くて迷いやすいと明言されている以上、チーズを探しに出て道に迷って餓死してしまうリスクは理屈にあった恐怖であり、十分起こりうる可能性です。考慮するべきです。

 たまたまスニッフもスカリーもホーも上手くいっただけで、成功例だけを抽出して「ほら、これが正解なんだよ」と言われても納得できません。本書ではまるで最悪の事態は決して訪れず、変化は絶対に上手くいくかのように描写されています。

 物語である以上仕方のないことかとも思いますが、その設定では起こるはずもない恐怖をホーが感じるたびに、茶番のように見えてしまいました。

 せめて、考えがあるわけではなく、反射的に行動するネズミのスカリー辺りは痛い目を見ていて欲しかったです。その方がよほど現実的です。

 「変化=正義」という方程式を盲目的に信じるのは危険です。

 念のために言っておくと、「変化に適応せよ」という本旨には概ね共感しています。

 状況が変われば戦略や選択肢も変わるし、臨機応変に対応しなければなりません。そして挑戦してみなければ結果は得られません。

 ただ、挑戦するならリスクを覚悟しておくべきです。もちろんリスクを最小限にする努力は怠らずに。

 現状に慢心し固執している、あるいは変化すること事態に不安を抱いている、そんな方にはおすすめできる本だと思いました。